地震による建物倒壊にはタイプがある
2024/01/13
2024年1月1日に石川県能登半島にある鳳珠郡穴水町の北東42 kmを震央とするM7.6の大地震が発生しました。(令和6年能登半島地震)
この度の大震災で被害に遭われた方々に心よりお見舞い申し上げます。
地震発生から今日で12日となりました。
次第にその被害の全貌が明らかになってきて、地震により建物が倒壊している様を報道やSNSによる投稿などを通じて眼にしていますが、今回のように震度7だったり、震度6強や6弱の揺れにより建物が倒壊するパターンには2通りの倒壊の仕方があります。
①一つは1階そのものが潰れて2階がそのまま落ちるパターン、
②もう一つは1階が傾いてその傾きに2階が追い付かずに1階が斜めに倒れて1階と2階の梁辺りが折れて2階がズレて倒壊するパターン、
です。
①は比較的に古い建物によくある傾向で、②は比較的に新しい建物にある傾向です。
①は1981年以前に建てられた建物はもちろんのこと2000年までに建てられた建物が多いのが特徴です。また、②については、1995年の阪神大震災を契機として2000年に定められた建築基準法の改正を受けて新しい基準で建てられた建物に多いのが特徴です。
②は柱脚柱頭に金物を設けて耐力を持たせる構造とした建物で、現在の耐震等級の基準になっている最低限耐震等級1の建物となります。
今回の能登半島地震の震源地である地域では前震で震度5強、本震で震度7、その他の地域でも震度6強あるいは震度6弱を最高に多くの余震に見舞われています。
このように多くの余震に見舞われると、なんとか最初の揺れに耐えられた建物も損傷が蓄積されて、余震で倒れるということもしばしばあります。
私どもの住む東京や神奈川も、東京湾北部域を震源とする首都直下型地震や関東地方西部にある断層帯を震源とする地震(M7クラス)などが30年以内に発生する確率が比較的に高く想定されています。
これらの状況を考えると、熊本地震である程度証明された耐震等級3が必須であることは当然ながら、余震による被害の可能性を考えると、耐震の上で更なる地震対策、免震なり制震のこと考えるのが賢明であると思います。
例えば免震であるならば、建物基礎そのものを免震構造にするとか、建物基礎と土台の間に免震装置を装備するとかが候補になります。
建物基礎そのものを免震構造にする方法例
建物基礎と土台の間に免震装置を装備する方法例
ただ、免震装置の場合、主に横揺れに関しては揺れを吸収できますが、縦揺れにはあまり効果がないと考えています。
また、制震ということを考えるならば、やはりダンパーで揺れを吸収させて力を分散させるというのが現実的かなと思います。
ダンパーによる制震装置を装備する方法例
https://www.yhsj.co.jp/products/scd/
https://www.evoltz.com/performance/what_is_b5
ダイワハウスが2017年3月期の決算発表時において2016年の熊本地震では数棟倒壊したことが発表されました(現在、この内容はダイワハウスの公式Webサイト上から削除されています。)が、上の写真画像の中には恐らく大手ハウスメーカーが建てたと思われる建物も含まれています。
建築事業者が大手なのか小さな工務店なのかという観点も人によっては大事かもしれませんが、その建築事業者がどのような建物を建てているのか、どのような構造の建物なのか、そのような観点も重要なのではないでしょうか?
家を建てようと考えている方は、こういったことも念頭に置いて家づくりをされるのも一つかなと思います。
尚、南関東を震源とする相模トラフ沿いの大規模地震(大正関東地震タイプの地震; M8クラス)に見舞われる可能性もありますが、この地震の発生頻度は200~400年間隔で前回の発生から約100年が経過している状況ですので、まだ時間的には切迫していません。また、相模トラフ沿いの大規模地震の最大クラスの地震となると2000~3000年間隔に発生しており前回の元禄関東地震(1703年; M8.5)発生から約320年が経過している状況です。